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ガラス

  • 執筆者の写真: 林院長
    林院長
  • 2016年2月14日
  • 読了時間: 1分

溶解炉から1400度で溶融されたガラスは保護メガネ越しにも赤とはこういう色だと言わんばかりに光を放っていた。

吹き竿で坩堝より溶融されたガラスを取り出し、作業点である1200度まで下げ、成形を行っていく。

水飴状のガラスはまるで生き物のようにその場に留まることなく絶えずその形を変えていく。

師匠には竿から伝わる感覚でそのガラスの状態が分かるようで、吹くタイミングを教えてくれる。

『はい、今です。少し強めに吹いて下さい。』

『あの~、これって口つけて吹くんですか。』

『?!』

少し困惑した表情を浮かべ、少し間をおいて師匠は言った。

『どう思いますか?』

私は吹き竿に口をつけて、プューっと吹いた。

これって間接キス?!

師弟関係はこうやって築かれるのだろうね。

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