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執筆者の写真林院長

神田祭


5月14日、神田近辺で寿司でも頬張りに行こうかと出かけた矢先に御輿を担いだ屈強な男たちに出会った。江戸っ子なら粋というべきだろうふんどし姿の男たちが大声を張り上げながら町内を練り歩いていた。あまり祭りに詳しくないが、その祭りはどうやら神田祭のようで、山王祭・深川祭とともに「江戸三大祭」にも数えられる祭りとのことだ。それぞれの町内で入れた御輿を担ぎ上げて神田明神を目指すのだろうか。古くからその地に根差した人達だからか御輿の担ぎ手達の出で立ちと所作は町内会の絆の深さがうかがえる。どうも郊外で育った私にとってたとえ下町といえど東京に住むものでましてや千代田区の住人ともなると、いわば憧れの生活人に感じる。そのような人らがふんどしを占めて締めてワッショイ、ワッショイときたか。いいものが見れたと心躍る中、すし屋の暖簾をくぐった。ありゃ、すし屋にもふんどしを締めた男どもがにぎりを食らってらぁ。店内は祭りの小休止にと訪れていた町内会の人たちであふれかえっていた。

『やまさん、お客さん来たから悪いけどそこ空けてくれないか。』

『あいよっ。』

私は席を空けて頂いた方に一礼をしてその席に座った。

大将の気遣いでカウンターの席を譲っていただいたのはいいが、その席は山さんがふんどしを締めた姿で座っていたことを思い出し、座席に残るその温もりを感じながら私は寿司を食べるのであった。

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