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執筆者の写真林院長

アジサイ


私が犬小屋に手を入れると、私の愛犬は低い声で唸りながら牙を見せては威嚇してくる。今は慣れたが、はじめて威嚇された時はラオウが鬼神のごとく対峙した山のフドウに後ずさりをし、恐怖を覚えたがごとく私も思わず後退したものである。愛犬とは普段からとても仲が良い。仲が良いだけにそのように威嚇されると恐怖よりむしろ裏切られた気持ちともいえる動揺が走る。私が犬小屋に入るのを嫌うのは、本能的な縄張り意識からなのだろうか。いやいや、犬は群れて生活するのでは?何だか腑に落ちないところがあるが、思春期を迎えた我が子の部屋になかなか入れない親のような気持である。

「アジサイがきれいだよ。散歩に行く?」

犬小屋から飛び出た愛犬は尻尾を振りながら、私の周りを跳ねながら喜びを表現した。

後で犬小屋でも掃除するか、さてはお主何か隠し持っているな。

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