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執筆者の写真林院長

夏の思い出


台風が冷気を運び10月上旬のような気候であるが、9月になった。そういえば、今年の夏ものろのろ台風がもたらす影響で、夏らしい夏ではなかったと嘆く人もいれば、冷夏までとは言わないが暑さが比較的和らぎ過ごしやすい夏でよかったと喜ぶ人もいる。インドア派の私はどちらかというと後者のほうかもしれない。私の夏の思い出といえば、クリニック近くにある中仙道と首都高が交わる付近の歩道で散歩する老夫婦の事が思い出される。その老夫婦とは言葉を交わしたことがないのだが、決まって夕方ごろになると夫婦そろって愛犬と思わしき2頭のコリー犬を各々一頭、首につながれたリードを携えて散歩するのだ。そのコリー犬は歩調の遅い老夫婦に合わせるように歩を進めては止め、また進むといった調子で飼い主を気遣うあたりが噂に違わぬ聡明な犬種に感じた。老夫婦は暑さをしのぐためか、散歩中決まってリードを持たぬもう一方の空いている手にソーダ味のガリガリ君を持ち、道中それをうまそうにかじるのだ。聡明な犬と仲睦ましい老夫婦に夏の風物詩とも言えるガリガリ君が織り成す情景が今年の夏の思い出として私の脳裏に色濃く残っている。


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