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執筆者の写真林院長

山桜桃


日本三大庭園の一つである偕楽園に訪れた。暖冬の影響もあり、3月上旬には梅の花は最盛期を迎えていた。週末は梅まつりが催されたこともあり、多いな賑わいをみせていた。梅の花は桜の花ほど大きくなく、小ぶりの為か、迫力に欠ける印象があった。しかしながら、花が小ぶりの分、しなやかに湾曲した枝の流れが際立ち、桜より侘び寂びを感じさせるものがあった。

以前より知人から茨城に訪れた際は地酒の『山桜桃( ゆすら )』を飲むように強く勧められていた。というのも、その知人いわく、『山桜桃は宇宙の味がした。』

宇宙ってどんな味なんだと突っ込みたくなるが、ともかく知人にそのように言わしめた酒に私自身も惹かれていた。山桜桃は辛口の日本酒であるが口の中ではボッティチェリの聖母子像の背景に描かれたバラのように甘く広がった。私はあっという間に宇宙に到達した。無事地球に帰還した頃には帰りの電車に揺られていた。どうやら途中の記憶は宇宙に置いてきたようだ。

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