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執筆者の写真林院長

冬芽


目黒の自然教育園へ冬芽(トウガ)を見に行った。紅葉が終わり葉を落とした落葉樹の枝には、越冬する為に、冬芽を形成する。冬芽は春を迎えると蕾になったり、葉になったりする。つまり、冬芽は蕾や葉が冬の厳しい寒さに耐えるために毛皮を着込んで縮こまっているような様である。植物によって冬芽の形は様々で、これも冬の間しか見れないと考えれば、花見や紅葉のように貴重な自然現象と言える。しかしながら、花見や紅葉のようなダイナミックな景色は期待できないせいか、園内は冬芽を見に来る客は少なく、閑散としていた。冬芽ガイドブックを片手に冬芽をみてはその植物が何か当てっこするのもなかなか乙な遊びと思う。 『今日はカワセミ来てないよ。』 バードウォッチングを楽しむ翁が気さくに声をかけてきた。冬芽を見にきたなんてつい言えず、『それは残念です。』と同調した。すると、翁が遠くを指差していった。 『あそこに木を突いている鳥がいるよ。』 『えっ、何処ですか?よく見えますね。目がいいですね。』 すると、翁は私に双眼鏡を突きつけた。 『ほら、老眼鏡っ。』 早く私に見せようと慌てて言い間違えたのか、それとも渾身のボケなのかと困惑しつつも、双眼鏡をのぞいて見た。 『あっ、いた。』 小鳥が一生懸命木を突いておる。うん、バードウォッチングも悪くない。

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