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執筆者の写真林院長

生物学的製剤


 サイトカインは細胞間の情報伝達物質で免疫と炎症に関連するものが多く、細胞の生存や維持のために欠かせないものである。その中でも主に腫瘍を破壊していく物質と考えられているTNF-αサイトカイン(腫瘍壊死因子)が、乾癬において大量に作られて皮膚や関節などに炎症を起こすとされている。  乾癬の病状を進行させるサイトカインなどを標的としたバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品のことを生物学的製剤という。生物学的製剤は乾癬治療の選択肢を広げただけでなく、最終手段という位置付けになりつつある。 しかしながら、生物学的製剤は高額な医療費という問題を抱えている。TNF-αを阻害するレミケードという生物学的製剤を例にすると、1回あたりの治療費は約40万として、健康保険3割負担で12万の医療費支払い、後に高額医療で戻ってきた分を考慮すれば、月額2~4万の負担(収入の差による負担額の差)になることから高額な医療費である。

 また、他の乾癬治療に比べて副作用のリスクが高くなる為、皮膚科専門医のいる生物学的製剤使用承認病院でないと治療が行えない。一般的に生物学的製剤を使用できる病院はその地域の中核を担う病院や大学病院(二次・三次医療)である。今後もこのような承認施設は増える見込みであるが、それに合わせて地域医療に根差した診療所(一次医療)との連携(乾癬治療ネットワーク)を整備していく必要がある。

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