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執筆者の写真林院長

保安検査場


 札幌での学会が終わり、駅から電車を乗り継ぎ千歳空港から帰路についた。 ポーンとブザーが鳴った。『こちらに来て下さい。ポケットの中身をすべて出して下さい。』と保安検査官が言った。 携帯や腕時計など思い当たる身につけている金属を外しているのと、羽田を出る際は保安検査場を難なく通過したことでここでも通過出来るという自負があった成果、呼び止められたことに私は少々不満な表情を浮かべていた。 『金属類なんて持ってないよ。』と渋々ポケットからレシートやら、ちり紙やら、本人も存在を忘れていた使用済みの爪楊枝を披露する羽目になった。保安検査官はポケットより取り出されたものに金属探知機を当て始めた。案の定、金属探知機は反応することなく、その様子を冷めた目で見ていた私に検査官はベルトを外すように言った。あっ?言われてみればこれかなとベルトを外しながら私も感じていた。検査官は私に再度ゲートを通るように指示した。ゲートを通過すると同時にポーンとブザーはならなかったのだが、ストーンとベルトのない私のズボンは力無く落ちてしまった。

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