• 林院長

止血

 主に外傷に伴う出血について述べたい。クリニックで多くみられる外傷は、転倒によるものか刃物を用いた調理・作業中の事故が多い。傷が浅いものは毛細血管からの出血で大概は放って置いても止血される。浅い傷でも中には、指先などの動静脈が合流するところや血管床が豊富な頭皮などは、放置しても止血されにくいところもある。

 深い傷にはじわじわと暗赤色な静脈性出血と勢いよく出る鮮血色な動脈性出血がある。体重の8%の血液が喪失した場合、生命の維持に関わる。動脈性出血は他の出血に比べると喪失が早いので、医療機関で可及的に止血しなければならない。しかしながら、皆さんが想像するより動脈という血管は深いところを走行しているので、刺創、切断、あるいは、転落・交通事故など高エネルギー外傷による場合以外は、ほとんどみられない。つまり、スライサーで指を削いだり、足を滑らせて転んだ傷が深くてもほとんどが静脈性出血である。静脈性出血であれば、多くの場合、圧迫止血で止血されるか、出血を遅らせることがある。

圧迫止血以外にも怪我した箇所より心臓に近い位置で駆血する方法もあるが、駆血時間が長いと神経に障害が出たり、駆血する圧が足りないと返って静脈が鬱血し、出血がむしろ多くなることもあるので、駆血による止血はあまりおすすめしない。兎も角、傷からの出血をみたら、ガーゼやハンカチなどの布地を厚くし傷口を直接圧迫することをおすすめする。

 この間、包丁で指を切った方が外来に来られた。何やら傷口を書道用半紙で押さえていた。年始とあって書き初めでもしたのだろうか。処置を終えて血にまみれくしゃくしゃになったその半紙を処分がてら興味本位で何が書かれているか見てみた。

『災』、これ然り。




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