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  • 執筆者の写真林院長

湿潤療法


アフリカに住むチンパンジーはお腹に寄生した虫を追い払うためにその地に生息するある植物を食べて、腹を下すことでお腹に寄生した寄生虫を便とともに排泄する。この行為は、我々が病に伏したときに薬を煎じて飲む行為そのものである。

長い歴史を紐解いても我々は生きる上で常に病と対峙し闘ってきた。感染症に対して抗生物質の代表格であるペニシリンが作られたのはカビからヒントを得たように、特効薬は我々の住む環境に存在するものである。

昨今、傷は適度に潤いがあるほうが治りが早いという考えから創傷管理において湿潤療法が一つの主流となってきた。その考えに伴い湿潤療法を行う上で様々な被覆材が開発された。これらの被覆材の多くは海藻や甲殻類などを原料としており、傷に良いとされる薬も意外に身近なものから作られているのだと感じた。人伝いに聞いた話であるが、昔、蜂蜜が皮膚にとって大変良い栄養源とされる文献が散見されたため、傷を癒すのにも良いのではないかという考えが高まり、実際に臨床研究として患者の傷に蜂蜜を塗布していたことがあったとそうな。民間療法としてやけどに擦った芋やアロエを貼付する地域もあるようにあながち蜂蜜も遠からずの治療のように思えた。しかしながら、その蜂蜜の傷に対する臨床研究は始まって間もなく院内のハエやアリが増加したため、衛生面の問題が解決できずに頓挫したとそうだ。

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