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  • 執筆者の写真林院長

第60回日本形成外科学会総会


「お客さん、どちらからいらっしゃいました?」

「東京からです。」

「もう造幣局にはいかれました?」

「いえ、まだです」

「ほな、明日行くといいですよ。今ちょうど見ごろなんです。」

「お客さんはどうか知りませんけど、私はどちらかというと痩せている女よりぽっちゃりしている子が好きなんです。だから、ソメイヨシノより断然八重。造幣局の八重はきれいですよ。」

学会のため大阪に訪れた先で、会場に向かうべくタクシーに乗車したが、運転手の会話が一向にとまる気配がない。話は次第に自分の孫の自慢話へと進んでいた。

今回の形成外科学会は、人工物による乳房再建の発表が目立った印象がある。従来、形成外科医は人工物を嫌い自家組織による再建を好む傾向にあった。おそらく2013年に癌などで欠損した乳房を人工物であるシリコンバックでの再建が保険適応となったことから人工物による乳房再建症例が山積した結果、今学会での報告が目立ったのだろう。人工物による再建のメリットはやはりドナーとなる自家組織を犠牲にする必要がなく、患者自身への侵襲という観点で負担が軽減できることであろう。胸の形についてはまだまだ健常の乳房の形に近づけるうえで課題があるように思われたが、将来性を感じる再建術に感じられた。

今後ますます乳房再建において自家組織を用いるか、人工物をもちいるかは患者が希望する乳房の好みによって選択される時代なのかもしれない。

私は八重よりソメイヨシノが好みかな。

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