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執筆者の写真林院長

ライム病


ある学生が当クリニックに来院された。米国短期留学中にマダニに刺されたということで、あちらの先生にライム病の検査を帰国後も行うように提言されたようである。欧米では年間数万人の患者がライム病に罹患している。日本ではあまりなじみがなくこれまで数百人の報告しかない。北海道と長野のマダニが媒介すると言われている。

 1975年ごろ、コネチカット州のライム地方で発見されたことが病名の由来である。野鼠や野鳥を吸虫したマダニが媒介するボレリア細菌感染症である。人畜共通感染症の一つでヒトの場合、角膜炎、関節炎、多発性神経炎、不整脈、髄膜炎、脳炎などの多彩な症状を呈する。症状が多彩故に、言い換えれば特徴的な症状がないため、これらの症状からライム病を結びつけることは困難である。ただし、遊走性紅斑という独特の皮膚症状がある。これは、ダニ刺咬部の皮膚発赤が、徐々に環状に広がっていく紅斑で、ダニに刺咬されたことと遊走性紅斑の2つがあれば、ライム病だと見当を付けることができる。

 しかしながら、患者がマダニに刺された自覚なしに経過とともに遊走性紅斑が消退した場合、関節炎や脳炎で医療機関を受診しても日本ではライム病の診断の助けとなる血清診断などの検査が充実していない為、ライム病だと分からず、原因不明の病として苦しんでいる人たちがかなり潜伏しているかも知れない。

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