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  • 執筆者の写真林院長

水虫の疫学


 足白癬・爪白癬の疫学調査が大規模に行われた。本邦においては足白癬・爪白癬の罹患数はおよそ2500万人であった。罹患率は20%に認められ、男性に多く、加齢とともに上昇する傾向にある。足爪白癬を罹患する危険因子は血管疾患・糖尿病・骨関節疾患・スポーツ・外傷・肥満・同居家族に真菌症ありなどが挙げられた。

罹患率20%(5人に1人)に対して皮膚科外来においては8人に1人が足白癬・爪白癬の患者割合である。これは、足爪白癬の症状が比較的深刻でないことから皮膚科受診をしていない潜在的な患者が予想以上に多いことが伺える。どのように足爪白癬の潜在的な患者の受診率を増加させることが今後の課題といえる。同居家族に足爪白癬の潜在的な患者がいれば、ますます周囲に罹患していくであろう。

 疫学調査で興味深い結果がもう一つあった。足白癬・爪白癬の罹患率は加齢とともに上昇するが、足白癬の患者は50歳をピークに減少していく傾向にあった。理由はよくわからないが、足白癬は50歳を境に自然治癒するのかもしれない。爪白癬はその傾向は認めず加齢とともに罹患率は右肩上がりであった。

 爪白癬は足白癬よりも治療に難渋することがある。皮膚より爪には薬効が届き難いということもあるが、これは微生物において真菌が動物に比較的近い構造にあるため、人体に影響なく殺菌することが難しいという背景があり、治療薬の開発が難しいからである。ある程度進行した爪白癬は治療に見切りをつけて折り合いをつけることも必要かもしれない。

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