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  • 執筆者の写真林院長

赤い糸電話


結婚して一周年を迎えるにあたり、日頃の妻への感謝を込めて富山への小旅行を計画した。

富山には世界一美しいと言われるスタバがあるらしく、また、その環水公園には赤い糸電話というロマンスが有り余るアイテムがあるらしい。

これは使わない手はない。

勇み足で向かうも富山駅の何口から出ればよいのかわからなくなった。

駅近くで警備にあたっているご年配の男性に声をかけた。

『環水公園? ちょうど30分くらい手が空いたから運動がてら途中まで案内しよか』

道案内の道中、その翁は用弁的に環水公園の観光ポイントを語った。

それは翁がよく道を尋ねられていることを窺わせた。

路面電車が通過するのを横断歩道で待つ最中、2、3人の若い男性が路面電車が走る様をカメラにおさめていた。

すると、撮り鉄の集団に聞こえるくらいの声のトーンで翁は私に

『前々からどうにも理解できんよ。あんなもん撮って何が楽しいんかねぇ。お前さんもそう思うやろ。』

私は翁の非礼を詫びるように撮り鉄の集団に軽く頭を下げた後に、翁に言った。

『そういうことは糸電話でこっそり教えてくださいよ。』

翁としばし戯れた後、ようやくセーヌ川の辺りを彷彿させる環水公園にたどり着いた。

早速赤い糸電話で妻に感謝の気持ちを伝えようとしたが、残念ながら冬場はやってないらしい。

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