私の母もそうであったが、ステロイド外用薬の治療を望まない患者がいる。昔からステロイドは怖い薬というイメージが定着してしまったからだろう。 ステロイド外用薬は湿疹・皮膚炎中心に皮膚科疾患の治療として炎症を鎮めるのに大変優れ、幅広く用いられている。体内の副腎で作られるホルモンで、このホルモンの作用である抗炎症作用、血管収縮作用や免疫抑制作用を薬として応用している。 ステロイド外用薬を局部に塗布した場合、皮膚の萎縮、毛細血管の拡張、酒さ様皮膚炎、皮膚感染の誘発などの副作用がある。しかしながら、ステロイドの外用薬には様々な強さがあり、炎症の程度や塗布する部位のステロイドの吸収度合など考えて使い分けることで副作用のリスクを軽減できる。 全身性の副作用は長期に渡り全身に塗布しない限りなかなか起こらないが、ホルモンバランスが乱れることによる高血圧、糖耐異常、肥満、骨粗しょう症や小児成長障害などある。これらの全身性の副作用がステロイドは怖いというイメージを定着させたのかもしれない。ステロイドに限らずどんな薬にも副作用がある。ただ、病気を治すメリットがその薬の副作用のデメリットを上まっていたら、使わずにいられるだろうか。
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